2013年11月11日月曜日

ブラック企業問題

ブラック企業とは、従業員に非現実的なノルマや過剰残業を課す、いじめや嫌がらせ、残業代の未払いなどを頻繁に行う、あるいは労働基準法を守らない企業。経営者など一部の人間が暴利をむさぼり、従業員を粗末に扱う会社と言い換えてもいい。 最近、なにかとニュースになっているブラック企業問題について考えたい。

残業時間が多くてもブラックではないこともある

残業時間だけでブラックかどうかの判断はできない(もちろん労働法上でのリミットは守る必要がある)。仕事が生きがいで自身の意思で残業している、あるいは経営者のごきげんをとるために残業している人もいるからだ。

たとえば偉い人は、仕事の成果を見ないで残業時間だけで人間の評価をしてしまうことが多い。それは成果を公平に評価するにはとても高いスキルが必要なのだが、日本では年功序列がはびこっているので、そのスキルを持つ管理職/経営者は少ない。 若いうちは成果のわりに少ない給料しかもらえない、つまり経営者はたくさん残業させた方が得だと感じる。「残業時間が多い人はやる気がある。残業をしない人はやる気がない」という言い方をしてしまうのもそれが原因。いってみれば、残業時間を増やすというのは偉い人に高額のお歳暮を贈り、ごきげんをとる行為に等しい。

偉い人の主観で評価、昇進が決まってしまうのだから会社内でよいポストを手に入れたければ「たくさん残業する」という考え方をする人もいる。若い時に「たくさん残業」して良いポストを手に入れようと本人が思っているのであれば、それはその人の生き方だ。

ただし管理職の都合で残業を強制するのは搾取であり、ブラックだ。

私はごきげんとりのため残業する生き方をお勧めしているわけではない。 それは昇進が約束されているわけではなく、偉い人の主観で決まるわけだから、こきげんをそこねれば、左遷ということもありえる。激動の時代では会社がなくなってしまうかもしれないし、突然給料体系が変わるかもしれない。経営者は自分の身が一番大切であるから会社が傾いた時にはたして給料を保証してもらえるか分からない。 やはり労働者自身がスキルアップし、企業は成果に基づき給料を払うというのが健全な状態であろう。

「たくさん残業」するのは新人が成長するために必要だとする説もある。まずたくさん残業すればその人がその分向上するのかというのが疑問だ。過剰残業に頼らなければ業務ができないという体質にこそ問題。

たしかにより良き仕事をするには学習し個人が向上していく必要がある。 ここで注意してほしいのは、会社内でないとできない訓練と教科書とノートで行う学習があるということ。たとえば管理職としてのスキルは「人と人との間の潤滑油としての働き」が重要であるので会社でないと困難。IT関連の仕事(エンジニア)では常に最新技術の習得が必要とされるので書籍などで学習することが多く、自宅での学習が必要(会社では雑用におわれて学習できない、会社で学習していると業務上で必要なことでも上司に嫌な顔をされることがある)。

そして仕事のよろこびの1つには「できなかったことが、できるようになる」ことがある。学習のための時間が必要であろう。商業主義がきびしくなると学習のために会社が残業代を出すのは難しくなるから、残業を削減し、自宅で学習するスタイルが多くなるであろう。

ちなみに残業時間の制限があるのは弱い立場の人間が搾取されるのを防ぐため。 労働時間の制限があるのは係長以下の人だけ。経営者、自営業者、課長以上の管理職は自分で残業時間を決めることができるのでいくらでも残業してよい。

仕事のやり方に自由度がある会社ならば、長時間労働でもあまりストレスは感じない。 仕事のやり方をいちいち細かく規定されてしまう会社ならば、残業なしでもストレスは発生する。 たとえば業務に必要なことを学習しようとすると止められる。それは目先の利益優先だから学習は敬遠し、労働者の技術向上がなされない。いつまでも効率の悪い方法でしか働けない。 効率がわるいので長時間労働が必要、労働者はいつまでもスキルアップできないというストレスがある。

労働者の意思で積極的に学習し、そのために労働時間が長くなっているのであればブラックではない。学習時間を与えないで、目先の利益のために、企業の都合で長時間労働させているのはブラックだ。

若いうちこそ好きなことをしよう

「若いうちは働け!ワーク・ライフ・バランスなんていらない」というのは搾取する側の都合だ。

定年後に好きなことをしようと思っても、衰えてからでは結局なにもできなくなってしまうことが多い。アメリカのように若くても成果にみあう高給を手にいれられるならば、若い頃にがむしゃらに働いて早期退職、定年前に悠々自適生活、そのような生き方もあるだろう。日本ではそのような会社はないので、若いときにこそやりたいことを思う存分するべきだ。それが何かは人によりさまざまで、個人個人が考えることだ。それが人により仕事であったり、趣味であったり、子育てであったりする。

昇進して会社内でみとめられたいという人もあるだろう。→そのときは過剰残業が必要になるかもしれない。役職、昇進が生きがい。家庭や個人の趣味を生きがいにするのもその人の自由。→仕事の成果が出せなければ給料は少なくなるかもしれないが、お金だけが幸福ではない。働き方に多様性が必要。決して会社が強制すべきことではない。日本の男性にも7H労働が可能な会社があるべきであるし、女性に責任のある仕事をまかせる会社があっても良い。

過労死問題

マラソンの統計をみると個人の体力に大きなばらつきがあることが分かる。訓練を続けると成績は向上するが全ての人が同じぐらいの成績になることはない。生まれたときに決まる個性、小学校就業前での生活習慣で体力はほとんど決まってしまい、大人になってから訓練をしても向上する割合は限られる。みんながこのぐらいのペースで走っているのだからお前もがんばれと無責任な強要をしてしまうと死亡事故につながることがある。

過労死もこれと似ている。 「みんなが100H残業、会社のために奉仕しているのに、なぜお前は残業しないんだ!お前は怠け者だ! 」たしかに過剰残業させても元気な人はいる。反面、黒い顔で今にも死にそうな人もいる。

過労死なんてニュースの中だけの話でうちの会社には関係ないと思っている人は多いと思う。 しかし私の知っている会社で過労死が起こった。「まさかあの人が」と思う。みんな同じぐらい残業させているのに他の人は死ななかった。俺には責任ないといっても遺族には通じない。

たしかに本人の健康管理にも問題があったかもしれない。過労死が起こるのはいくつかの悪い条件が重なった時であるので管理職/経営者だけが悪いのではないかもしれない。しかし労働法のリミットを越えて残業させていたのでは「殺人の罪」をのがれることはできない。

経営者は管理職を教育/指導する義務がある。「現場の管理職がかってにやったことだ」という言い訳は通らない。だから業務命令で残業を強制してはならない。そして個人の体力にはばらつきがあり、家庭の事情もさまざまであるので1人1人の都合を聞き全ての人を同じにしようとしないこと。各労働者の労働時間を考え、職種や役割分担、ローテーションを考える(ワークシェアリング)。

みんなよりも早く帰ると「やる気のない人間だ」と言う評価を受けるのが怖くて帰れない人がいるであろう。もしも顔色の悪い労働者がいたならば業務命令で帰宅させるぐらいが良い。場合によっては転属、転職を勧めることもあるかもしれない。本人に合わない仕事を続けているのは本人にも会社にとっても不幸なことだからだ。プロの仕事で必要なのは残業時間ではなく成果だ。

過労死が起こると企業全体に「ブラック企業のレッテル」が貼られる。企業にとって大きな損失であるばかりでなく、周りの人間を不幸にする。事故があってから対策を考えても遅い。全ての企業で真剣に検討すべきであろう。

ブラック特区(雇用特区)

労働時間が週40時間以内という規制の緩和、「ホワイトカラー・エグゼンプション」は見送りになったそうだ。まず残業時間を増やせば儲かるという思想からいいかげん離れるべきだ。

労働法で決まっている労働時間とは、企業が従業員を拘束している時間のこと。 つまり、通勤時間や在宅勤務の時間は含まない。

IT関係の仕事ではほとんどパソコンがあれば仕事ができる(設備、工具、商品に触れる必要がない)。よって自宅からVPNで企業のサーバーに接続すれば仕事はできる。わざわざ会社に出社させているのは自宅で仕事をさせているとさぼるのではないかとか、長時間労働させるためにそうしている。在宅勤務で成果を評価するようにすれば労働時間は意識する必要がない(残業という概念がなくなる)、残業代を払いたくなければ積極的に在宅勤務を採用する会社が増えても言いと思う。

製造の仕事では、実際のモノに触れる必要があるので会社に出社する必要がある。製造はワークシェアリングをしやすい職種であるので、残業時間が長い会社というのは、初めからワークシェアリングの努力をしていない会社だ。

どうしても仕事の量には多い/少ないの波がある。よって短期派遣は、過剰残業を防ぐため必要である。きちんと期限ありでの仕事であるという説明をし、契約しているのであれば問題ない。 残業時間を増やし、派遣切りをしているので仕事がなくなって、失業率が悪化している。 問題なのは「残業時間を増やせば儲かる」という思想の方だ。

みんなが派遣より正社員が良いというのは、派遣の方が解雇のリスクがあり、年収が低いからだ。 十分な市場原理が働けば、派遣というのはリスクが高いのであるから、時給もそれなりに高くなるはずである。しかし日本では長く企業に縛られていた人がえらいという思想があり、かつ企業側の力が強いので正社員よりも派遣の方が年収が少ない(派遣の年収が良いというのは20代だけ)。 雇用保険を本人都合でも1ヶ月目から支給する、雇用保険の企業側負担率を多くするなどの検討は必要かもしれない。

労働条件については口頭での説明だけで良い項目と書類での明示が必要な項目がある。 退職金を払う、払わないなど文章での明示が義務化されていないためトラブルが後を絶たない。 雇用条件の明確化(書類での明記を義務化する)は、雇用特区をやる/やらないに関わらず、全ての企業で実行すべき。たしかに入社から退社まで数十年かかる場合があるので同じ条件を維持するのは難しい。5年毎に更新し、異議があればその都度交渉するのが現実的であろう。

いまだに年功序列が多いということは、企業側、従業員側いずれも縛り/縛られる関係を望んでいる(人材流動化を望まない)ということだろう。まず人々の考え方を変えなければならない。何か人材流動化にはメリットがあるということがわかるようにすることが必要。

人材流動化が進まないのは年功序列の影響がある。年功序列とは従業員と企業が縛り、縛られる関係になることを表す。それを改善し、年齢や勤続年数による格差を縮小しなければならない。だからベースアップではなく、係長以下の従業員、派遣、パートのみの給与アップにすべきであろう。

ルールは政治家と経営者だけで決めるのではなく弱い立場の人間からも意見を聞き、情報を逐次オープンにし検討すべき。秘密主義はダメ。

マスコミで取り上げられている企業をバッシングするだけでは問題は解決しない。 いじめ、パワハラを抑制する社会システムを作っていくことが重要であろう。

過労死が起こった企業については、殺人犯なのだから保護観察が必要。定期的にぬきうちで社内の調査する。書類提出だけではダメ。たとえば時々、労働基準監督局の職員と警察官がブラック企業を巡回する。そして深夜まで残業している従業員に1週間の残業時間を職務質問する。もし労働法のリミットを越えているのであればその場で管理職を補導する(もちろん上司がいない状態で部下だけ残業させていたならば罰則)。実際に過労死も出ているのだから労働基準監督局の仕事だからとかいっていないで部署の垣根を越えてが警察が協力する。ネズミ捕りよりもよっぽど社会に貢献する仕事だ。

こんな案でも良い。労働基準監督局が、短期派遣あるいはアルバイトで労働法監視員を募集する。 その人間に定時終了後にブラック企業内部を巡回させる。その時に警察官の制服を着せる(または監視員の腕章をつける)。それだけでも違法残業をさせている管理職、従業員に精神的なプレッシャーをかけることができる。さらに残業時間を職務質問し、労働法違反である場合は、名前と部署を記録しレッドカードを渡す。アルバイトでは逮捕まではできなくてもこのぐらいならできるであろう。これは単に労働法を守らせるだけでなく、50歳以上の失業者を優先して採用すれば雇用対策にもなる。一石二鳥だ。

指導にしたがわない経営者は1ヶ月ぐらい投獄(お金では釈放しない)、社長のいない時に新しい社長を従業員自身で選任させ、会社更生のためのルールを決めさせる。

⇒雇用特区

⇒ブラック企業対策へ離職率公表

また「ことなかれ主義」なことを言っている。強制力がないのであればほとんどの企業が表記しないであろう。企業はつごうの悪いことを隠したいわけだから。少なくとも離職率、平均残業時間、36協定のリミットの表記がなければハローワークでの求人を認めないようにすべき。虚偽の表記をしたならば1年間はハローワークでの求人を禁止。 全ての企業が、自社のwebで離職率、平均残業時間、36協定のリミットの公表を法律で義務化するぐらいが良い。派遣会社で仕事を紹介する際も情報開示を義務化。
行政はあまり頼りなりそうにない。 ブラック企業対策をやるやると言っておいて出てきた対応がこれでは失望だ。労働組合を作りストライキをする、あるいはデモ行進とかやらなければダメなのかもしれない。

アメリカの人に言わせると、従業員がなぜ経営者と交渉しないんだ。行政が介入する必要はないのでは?といわれる。 日本ではアメリカのように簡単に裁判ができないこと、労働組合が会社毎になってしまっていることが原因かもしれない。 日本の労働組合は36協定を作るため便宜上作っただけで、あまり活動をしていない。 どうしても経営者と労働組合の交渉担当が同じ会社だと、給料や昇進に影響があるのではないかと気にして強く言えない。 あるいは裏で昇進の代わりに問題をもみけすように依頼されたり、癒着が起こりやすい。 アメリカのようにユニオン・合同労組(複数の会社の従業員で構成される労働組合)が日本にも必要である。 JAとか見てわかるように全国規模の団体になれば行政に圧力をかけることができるほどになる。

⇒ブラック・バイト

最近はアルバイトにもブラックな働き方が広がってきている。

2013年11月4日月曜日

年功序列と成果主義、従業員満足度の話

日本は、長い間「変化のない国」「ニュースのないつまらない国」と海外のマスコミからは思われていた。しかし現在は改革なくしてはどうにもならない状態にある。 低価格品では新興国からの追い上げ、先端技術ではアメリカに負けて仕事がなくなってきているからだ。改革として給料体系の見直し、従業員満足度が重要であろう。

年功序列の崩壊

年功序列とは、給料の金額が年齢あるいは勤続年数により少しずつ上昇していくシステム。 つまり若い人の給料を本来の成果に対して少なめにし、高齢者の給料を成果に対して多くする。若いうちに強制的に意識されない年金(あるいは貯蓄)に加入させられ、退職前に給料を上積みする形で受け取るのと同様だ。従業員を会社に縛る働きがある(転職すると損をするようにしむける)。

強制的に貯蓄させることは法律で禁止されているが、表面上は貯蓄ではないので合法となる。 誰でも(結果を出せない人も)定年まで勤務すれば高給をもらえるという「夢」を与えることができる。

しかしこの夢はくずれた。その貯蓄は元金われを起こす可能性があったのだ。年功序列がうまくいかなくなった主な理由は少子化、高齢化にある。50年ぐらい前、年齢別のヒスグラムはピラミット形だった(図1左)。得をする人(成果よりも給料が多い;50代)の人数が少なく、損をする人(成果よりも給料が少ない;30~40代)が多いので50代では20代の3倍ぐらいの高額な給料を手にすることができた。


図1 日本の人口ヒストグラム

しかし現在、日本の人口をヒストグラムにすると下がすぼまった釣鐘形になる(図1右)。 サラリーマンのヒストグラムは新卒の採用をストップしてしまったいるので、さらに下がすぼまった不安定な形にになってしまっているかもしれない。得をする人が相対的に多くなってきているので、収支はバランスが壊れる。給料にあてる財源が不足するのだ(図2)。


図2 年齢別の給料

利権を持った人は、絶対自分の給料の削減はしたくないと考える。その不足分を何とか確保するために若年層の労働時間を長くしようという考えが発生する(あるいは外注/派遣の支払い金額を削減する)。

偉い人は「滅私奉公」というが、偉い人が実務を手伝ってくれるわけではない。若年層が少なくなり、中堅に仕事が集中し、それが心身症や自殺、過労死の増加になっている。パワハラ、ブラック企業などニュースとなる。

日本で一般的な折衷型

年功序列では資金が破綻することが分かっているので新しい給料体系が検討された。


図3 折衷型、成果主義の給料

成果主義が必要だというブームがあって今は部分的に成果主義を取り入れている会社が多い。ただ日本の企業が取り入れているのはアメリカのような成果主義ではなく、年功序列と成果主義の中間で「折衷型」とでもいうべき方式。

成果の出せた人は毎年少しずつ給料がアップするが、成果の出せなかった人は据え置くという方式。年齢や勤続年数を重ねても成果がなければ給料アップはしないという意味では成果主義、どんなに良い成果を出しても1年ぐらいではわずかしか給料は変わらない。本当の意味で給料に反映するのは20~30年後になるという点では年功序列に近い(図3)。

従来の年功序列では、全ての人が成果に関係なく年をとれば、高給を手にすることができた。 しかしこれでは資金繰りの点で破綻をする。折衷型では、年をとっても成果の出せない人は給料を低くおさえることにより収支のバランスを取ろうしている。

若いと成果より低い給料しかもらえないという意味では、あいかわらず従業員をお金で縛り(終身雇用前提)、人材流動化を妨げている。

今後も年功序列あるいは折衷型を続けるならば、年齢による給料の格差を圧縮していく必要がある。 新興国と競争しなければならないので給料を削減せざるをえない。 もともと給料の少ない人の給料を削減すると生活ができなくなるので特に上層部の給料を削減が必要。

成果主義

今後は日本もグローバル化が進み、早いスピードで改革が必要になる。 20~30年後に給料に反映されると言ってもそのころに会社があるかどうか分からないし、その頃には給料体系が変わっているかもしれない。

今までは年をとれば高給をもらえるというのを見てきたので、自分もその頃には同じぐらいの金額をもらえると思っていた。しかしそれは誰かが保障すると言ったわけではなく元金われの可能性があった。

給料削減と言うとどうしても損をしたくない、納得できないという感情が沸き起こる。 だからこそ、1年以内で成果が給料に反映される、「本来の意味での成果主義」が必要なのではないか? これからは早い社会情勢の変化に対応していかなければならない。生活の安定が重要だと思ったならば自分自身で貯蓄、あるいは保険に加入していくべきだ。

ただし成果主義は万能ではない。職種によっては適さない場合があるので適用するのであれば職種を選ぶ必要がある。成果の測定に主観が入りやすいというデメリットもある。 アメリカのような大きな格差をつける成果主義では能力の低い人が生活できなくなる可能性があり、そして給料が急に少なくなってしまうという不安感もある。 日本には少ない格差をつける成果主義が合うかもしれない。

大手企業がいい

新卒の学生が会社を選ぶ場合、「安定していて、福利厚生の良い企業がいい」というのは良く聞かれる。(つまり自分で働き方を選べないことがわかっており、受身になっている) 企業側の面接官にしたらやる気がある人が良い、「大手企業の方が安定していているから選びました」というと大抵おとされる。

大手企業も中小のベンチャー企業であった創業当時は、 大手企業の方が安定しているから良いといって入社する人はいなかったのが、いつの間にか会社にぶらさがるだけの人間が集まるようになってしまう。 会社が大きくなると安定性が重視され、リスクのある仕事は許可がおりないからだ。

初めはやる気のあった人も、実際に入社した後はその会社の社風に染まっていく。 やがて、問題になりそうなことは隠して、やる気がないのにだらだら会社にいのこり、見せかけのやる気をアピールし、上司の機嫌をとることに専念する。

このようなことが起こるのは仕事の成果を公平/公正に評価していないからだ。

ケイレツや派閥にひきこもっていられる時代は終わった。 グローバル化、自由競争の時代で10年先まで会社が存続するかは、 世界の変化に対して、1人1人が改革し、人材の最適化、業務の改善が必要である。 早い変化に対応するためには中央集権でいつも偉い人に許可をもらわなければ実行できない体質では生き残ることはできない。 現場での判断を拡大し、その代わりその命令を出した人がその結果に責任をもつ。→成果主義が必要。

成果主義とは、成果が1年以内で給料に反映し、男女差別や年齢による差別がないこと。どのような基準で成果を計算したかその方法が明確に定義され、それが労働者に開示されていること。

オランダの時給固定方式

逆の発想をし、福祉あるいは非商業主義的な発想を取り入れた「時給固定方式(職種主義)」を採用した国もある。

オランダでは、時給は職種により決まり、年齢には依存しない方式にした。 年をとったならば、さぼっても高給をもらえるというのは搾取を認めてしまうことになる。個人の能力には大きな差異があるが、時給を同じにするのが平等という考えだ。

成果もことなるのに時給を同じにしてしまうのが平等といえるのか? 一生懸命働いている人のやる気を奪うことにならないか? その点が疑問だ。また結果がだせないならば仕事が適合していない可能性があるのに、その職種/会社に居続ける(人材流動化を妨げる)という問題もある。

⇒オランダのワークシェアリング

今まで給料は必ず上昇するものだったのに給料削減というと感情的になってしまう方が多いのでしょう。だからなかなか給料体系の改革は行われなかった。しかしこの給料体系の改革は避けることはできない。

困ったことに日本の会社は、秘密主義でクレームが来そうなことは隠蔽される。会社の給料体系がどうなっているか聞かされていない従業員も多いと思う。利権を持った人だけで決めたい、改革したくないというのは問題だ。

従業員満足度が必要

今までは顧客満足度のみ重視されてきた。 それは顧客に良い印象をもってもらうことが次の仕事につながるから。

そして現場の人間には「滅私奉公」といって個人よりも会社/社会に奉仕せよといっていた。 しかし、それは過剰残業が当たり前、女性や高齢者を雇用しないことからわかるように、利権を持った人間が甘い汁を吸いたいだけ。カッコイイことを言ってできるだけ沢山搾取するのが目的だ。

今は、働く目的も人によってさまざまだ。滅私奉公なんていっても誰も相手にしない。 (ほんとうに社会に奉仕する意思があるなら残業を禁止し、弱い立場の人間を雇用しろ)

若者の離職率が高くなっている。 なぜ転職してしまうかというと、派遣の自由化が行われ、企業側が安易な派遣切りが行われている→終身雇用は終わった。上層部に自分の意見を言うと不利な扱いを受ける。どうせ改善されない、変わらないという思い→利権を持った人間は都合のいいことしか実行しない、やる気の喪失。利権を持たない人間は、結局、転職するしかない。

中堅以降は転職をすると損をするので思いとどまることが多いが、若い人はその懸念がないので転職をしやすいだけ。

最近は、特定派遣(いつわりの正社員)が多く、お客様(派遣先)の都合ばかり優先し、自社の社員には不利な扱いをする。これは現場の人間からみたら派遣元の経営者/管理職は派遣先の味方で自分の敵にみえる。搾取されるだけで、クレームの交渉をしてくれない、仕事の環境整備をしてくれない。これで派遣元に対して帰属性を持てというのはムリな話だ。

顧客満足度のみを追求すると、帰属性の低下、やる気の喪失につながる。やりすぎれば「ブラック企業」と呼ばれるであろう。従業員と経営者が信頼で結ばれるためには本音で話し双方が幸せになることを考えなければならない。 人材流動化の時代だからこそ、お金で従業員を縛るのではなく、信頼・きずなで結ばれる必要がある。会社組織は人でできている。搾取するだけのモノではない。

若い頃自分は会社のために身を粉にして働いた。今度は自分が甘い汁を吸う番だ。絶対に給料の削減はいやだ、若い連中にたくさん残業させてなんとかならないか? お金に目がくらみ、「みんなで幸福になること」を忘れている。

これからは、顧客満足度(Customer satisfaction)だけでなく、従業員満足度(Employee satisfaction)が必要。給料が削減がいやなら、改革を実行せよ。積極的に基礎開発、先端技術の開発、ベンチャー企業の育成、利益の出る職種に選択、集中とか。

良い会社ならば、優秀な人材がたくさん集まる。こんなに良い会社ならば恩返しをしたい、一生いっしょに仕事がしたいと思うことだろう。良い会社とはどんなか? 従業員1人1人望むことは異なる。その1人1人に対して本音で話し、会社を改革する。それを忘れているから「ブラック企業」「パワハラ」などがニュースをにぎわせているのだ。

⇒会社調査

⇒日本共産党・ブラック企業規制法案の提案