自動車業界は、不況でも強い競争力が維持しているのに、なぜ日本の自転車は衰退してしまったのか。
日本の自転車屋の状況
日本製の自転車は、海外で製造されている自転車におされて売れなくなっている。 過去には強い競争力を持っていながら、現在負けている分野という意味では家電業界と似ている。
ケイレツに縛られて海外の自転車を売ることのできない自転車小売店では「海外製の安価な自転車の修理をいやがる」所があるそうだ。 新品の自転車を買うときには、量販店で安価な自転車を買うくせに修理のときだけうちにもってくるというねたみがあるのであろう。
また逆に積極的に修理を収入源としている自転車屋もある。 新品の自転車が売れない、販売で収入を得られないので、初めからパンク修理を収入源として考えている。
ほんとうに自転車は売れない商品なの
国民が裕福になっていくと自転車から自動車に移行していく傾向がある。反面、海外の自転車事情を見ていると縮小どころか、拡大しているところも多い。 スポーツタイプの自転車が使われないのが日本の特徴だ。
自転車が売れなくなったのは日本人が裕福になったからだろうか? 科学技術が進めば、自動車の方が楽だから自転車は駆逐されてしまう商品だとあきらめてはいないだろうか? 自転車は、自動車にとってかわられる商品なのか?
自転車業界にたずさわる人間が、自転車を愛しているか? 通勤や休日のスポーツ、買い物などに自転車を活用しているか? 安易に自動車を使っていないか?
自転車のメリット・デメリット
自転車には自動車にはないメリットがある。 CO2、NOXの削減。健康志向、生活習慣病対策、ダイエットにも良い。
中国では、自動車の増大が著しく、かつ大型を好み、排気ガスの規制ゆるい車が多い。大気汚染が問題になっており、多量の有害物質が日本まで風で流れてきている。 もっと自転車の利用を推進すべきではないだろうか?
それではなぜ日本人は、自転車より自動車なのだろうか? 自動車の方が楽で早いからということもあるだろうが、 自動車優先の道路になってしまっていることが大きいかもしれない。
駅の周りでは、邪魔者扱いされている自転車(駐輪場がない)。 法改正で歩道を走れなくなった、車道も危なくて走れない。
スイスなどでは、以前から自動車優先ではなく自転車優先の社会をつくってきた。自然・観光が大きな収入源であるために、騒音や排気ガスを撒き散らす自動車が優先ではせっかくの雰囲気がだいなしだからだ。そのような努力を日本では行われていない。
環境の整備、スポーツとしての啓蒙
地方自治体によっては人口が少ないために電車を通すことのできない 地域がある。そのことを積極的に逆手にとって、自転車を観光の目玉にしようという動きがある。
たとえば、 給水・空気を入れるポイントを作る。 [既存の店舗、観光案内所を活用すれば、わずかな費用で実現可能]
自転車の利用が便利であることを海外・観光客にアピール。 [自転車利用に関するパンフレット、webの作成] サイクリング・ロード、駐輪場の整備。 狭くて、くねくねした道路の改善(安全性)。
日本では道路やインフラより先に家を建ててしまうのでどうしてもくねくねした細い道に自動車専用の2車線を作り 歩行者や自転車が通るスペースがなくなる。 一度完成した道路を何回も掘り起こしているのを見かける。 予算があって先に道路を作ることができないのだろうが、 都市計画を先に作り道路予定地には家が建てられないようにしておくべき。
すでに道路を作ってしまった所は対応が困難だ。 自動車優先になっている場所を歩行者や自転車が通れるように1車線(一方通行)にしてしまうのはどうだろうか。 あるいは駅前周辺は、日中自動車通行禁止にして、夜間だけ自動車の進入を許可する。 駅前の道路は、狭い上に多くの人が集まる。そこに制限速度を守らない自動車が入るのは大変危険だ。 それに自動車は1人しか乗っていなくても、通行や駐車に広いスペースを使い非効率だ。 たいした距離ではないのにすぐに自動車を使う人が多いのは、地球環境にとっても良くない。 自動車より自転車の方が使いやすい環境を作れば、自転車を使う人が増えるはず。
東京では、オリンピックに向けて環境にやさしい都市として自転車が注目されるようになってきた。 自転車業界にとってはビジネスチャンスであるので思い切った改革を実行し、自転車が利用しやすい町作りを進めるべきである。 道路事情改善を行政にリクエスト。 地方自治体とメーカー、販売店、自転車協会が協力をしてイベントを開催するなど組織を超えた協力関係が必要である。
新しい価値の創造、スポーツとしての啓蒙も考える。 通勤に自転車を使うなどをトレンドにしていくと良い。
たとえばこんなイメージはどうだろうか? 自動車を自分がお金持ちであることをアピールする手段であるならば、 その利用者は、大型車に乗り、指に大きな貴金属をつけ、お腹がぽっこりのイメージ。
自転車は、地球環境のことを考え、自分の健康管理にも余念がないスマートな人。 スマートというのは本来、やせているという意味ではなく、知的、理性的、効果的、あるいは おしゃれできびきびしたという意味。 日本では低価格自転車(ママチャリ)の比率が高いので、自動車を買えない貧乏な人が乗る乗りものであるというイメージになってしまっているのではないだろうか? スポーツタイプを低価格帯に近づける努力が必要。
ケイレツに引きこもるな
自転車業界が衰退してしまったのは「ケイレツの功罪」が大きい。 なんでも大手企業が判断してくれる。中小企業には決める権限がない。 海外の事情に無頓着になってしまう。 地元住民にしか販売してないと言っていても、実際に海外からの商品は入ってきていていやでも競争しなければならない。 今は自由競争の世の中なので日本だけ鎖国をするわけにはいかない。
ケイレツ以外の商品をあつかってはいけないと言っておけば高くても買ってくれるだろうと思っているのだろうが、今の消費者は価格に敏感であるのでなかなか買ってくれない。
おおいに競争をしてよい。経営者なら、ひがまないで自分で判断、選択し事業を行う。ケイレツにこだわらず海外の商品も良くて安いものを探して、新しい販売経路の開拓を常に心がける。 中国や台湾のショーに行って、新しいビジネス・パートナーを見つけると良い。
ケイレツ・システムでは製造と設計が同じ国になければならないとか 海外に工場を作る際に、日本の資本で工場を作り、日本のやり方を強制しなければ事業ができないとなってしまう。 それでは変化の早い、グローバル市場で勝負はできない。 資本関係のない会社にOEM供給を受けたり、やり方を強制するのではなく、規格をしっかりし、結果を評価するということをやるべきだ。
設計/開発だけ日本国内で行い、製造はアジアで行い、ブランドは日本というビジネス方法もある。 日本は人件費が高いのだからより利益率の高い仕事だけに選択/集中するということ。自転車以外の業界に進出するのもよいだろう。とにかく失敗を恐れず、チャレンジ精神だ。
技術改革が必要
自転車は機構が単純であるから差別化できない? 人件費の高い日本で製造するのは不利なのだろうか?
マイコンやソフトウェアでおまけ機能をつけて、高く売ろうという戦略は家電業界で失敗しているパターンだ。 スポーツタイプを買ってもらう工夫、それをコストダウンする工夫が必要。
改善案はいろいろ考えられる。 ロボット化、人が介在することなく多くの機種を1つのロボットで実行 できるようにする。 プログラムの書き換えだけで少量/多品種の生産、極限までの人件費節約。 ただしパワハラにならないように、ワークシェアリング。 自宅勤務の採用、女性エンジニアの活用、ITの活用。
今までは工場に出勤させなければ仕事ができなかったのは、 勤務場所に出勤させて見張っていなければ「さぼるのではないか」という心配があったため→成果主義にすれば良い。 ITを使えば自宅のPCからロボットを管理できる。 ロボットが頻繁に停止する、機種の切り替わりに人手が必要、100%自動化できない、手作業で製造しなければならない所がある →産業用ロボットの完成度、信頼性、柔軟性に問題。
新しい価値をもった自転車の創造。 なにも電動自転車だけがアイディアではないだろう。 もっと創造力を働かせるべきた。