2012年9月2日日曜日

ワークシェアリングの勧め

ワークシェアリングとは、勤労者同士で仕事を分け合うこと。 1人あたりの労働時間を短縮し、雇用を増やす働きがあるといわれ、オランダでの成功例がよく知られている。 日本では、推奨されることはあったがほとんどの会社で実施されていない。 ここではワークシェアリングのメリットと日本での実現の可能性を探ってみたい。

残業大国日本の弊害

従来、日本では働くことは美徳とされ、長時間の残業をし会社に奉仕することはあたりまえという概念があった。しかし近年ではグローバル化、自由競争の激化などで労働者にたいして過剰なストレスを与えるようになってきた。 昔は、家族のような会社が良い会社とされ、働く喜びや社員同士のなごやかな雰囲気があった。 しかし現在は売り上げノルマ達成や短納期で仕事をするなど同じ時間数でも精神的な負担をしいる仕事が多くなっている。

そのことは自殺者、過労死、心身症の増加、あるいは10年ぐらい勤続した人間が突然出社拒否に陥り会社をやめてしまうなどとの関連が懸念される。 ストレスはじわじわと人を蝕む。1年ぐらいでははっきりとた影響が認められずに10年ぐらいで発症する。 だから会社の責任か、本人の責任なのか区別が難しい。

深夜のコンビニで体がぶつかったと言って喧嘩をし、警察に補導される人、道で歩いていて追い越されたからといって腹を立てる人。普段、会社で時間に追われ、長時間残業を強いられているとイライラがつのり怒りっぽくなる。こんな光景はみなさんも目撃されたことがあると思う。

はたしてこれは本人に自生する能力がないのが悪いのだろうか? それとも労働者に過剰なストレスを課している会社が悪いのだろうか? ストレスの度合いが数値化することが困難であるので、どの程度まで許すか法律で規定することが困難である。 まだ労働法で労働時間が規定されていても、36協定で作らないで残業させたり、36協定のリミットを越えて働かせている企業はしばしばある。 これらは違法行為であるが、労働者が告発しないこと、労働法を守らせるための機関である労働基準監督局が企業に干渉するのに消極的であることなど、労働法違反が後を絶たない。

企業がたくさん残業させた方が儲かると思っているから、 高齢者や子育てをしている人に対して仕事がなくなり、失業率が増加する。 労働時間を短縮できれば仕事をしたくても仕事をさせてもらえない人が職に付くことができる。 仕事をできない人が減少すれば生活保障、失業保険などの出費が抑えられる。

なぜワークシェアリングができないの?

1つには、会社の労働者を増やすと社会保障費が増えるとか、労働者同士での情報の共有が必要になりそのためのコストが増大するという懸念がある。 しかし一方1人あたりの労働時間を増加させても集中して仕事のできる時間を決められており、過剰な残業をさせても仕事の効率ややる気は低下するという考え方もある。 日本人は「ことなかれ主義」で誰かが異論を唱えるようなことはしない、つまり変革を望まないので、単純に改革できないというのもあるかもしれない。

人間らしい生き方を求めて

商業主義の世の中では、お金儲けが優先され、労働者の不利益は仕方のないこととされてしまう傾向がある。 ほんとうにお金さえあれば人間は幸せになれるのだろうか? 何が幸せなのかは人それぞれだと思う。 しかし日本に住んでいる限り、自分や家族のための時間が取れる会社はほとんどない。 いろんな生き方があっても良いはずなのだが、選択肢がないのが問題だ。

この解決方に、こんな法律の改正案はどうだろうか? 企業が長時間残業をさせているのはその方が儲かると思っているからであるわけで、 長時間残業させると儲からなくなる仕組みを取り入れれば良い。 具体的には、残業させた時には1.25倍の賃金を払うことが法律で決まっている。 これを2倍にするとかどうだろうか?

会社全体、1人あたりの残業時間平均を計算し、その値に応じて法人税の金額を変えるというのはいかがだろうか? つまり過剰な残業で儲けようとしている企業には増税をするということ。 消費税の増税よりも建設的ではないだろうか?

そうすれは、お金儲けが最優先である民間企業はワークシェアリングを導入せざるを得なくなるであろう。 ワークシェアリングが普及すれば、派遣切りにあった人、新卒で仕事につけなかった人、高齢で仕事のない人に 働く機会が与えられ、現在 正社員で働いている人も自分の時間をもてるようになるのではないだろうか?

給料の金額は少なくなるかもしれないが、デフレである現在、多少金額が低下しても十分生活はしてゆける。 強いストレスにさらされると、お金でストレスを解消する遊びが多くなるが、ストレスが低減すればそのためのムダ使いも少なくなるはず。結果的に私たちはその方が幸せになれると思うのだがいかがだろうか?

⇒オランダのワークシェアリング-You Tube