X680x0を復刻をするという話がネット上にあったので私なりの意見を書いてみる。
望まれる仕様
もしも実現するなら次のような仕様を希望する。
CPUとSoC
互換性重視とし、MC68EC030、またはMMUが入っている本物の68030(または68040)。68030は入手しにくくなっているからセルベースICの中に68030を入れたSoCとする。最近のセルベースICは、小ロットでも制作しやすくなっているから実現可能かも。
日本でも半導体業界の再編、水平統合が進み、人材があまってきているはずだ。その人材を有効活用し新しいことに挑戦する。パソコン用のSoCなどは面白い開発テーマではないか?
現在のパソコンではCPUとGPUが1チップに収まっている。本企画でもCPUとGPU、それからスーパーIO、MPEGの圧縮・伸長機能をハードウェアで実装する。MPEG(あるいはJPEG)の圧縮・伸長は既存のIPがあるのでそれを買ってきてSoCに入れ込む。MPEGのサポートがハードで行われていれば、CPUが非力でもwebでの動画閲覧やビデオのPCでの編集などが可能になるであろう。
古いLSIは入手困難であろうし、古い回路であれば開発元から公開してもらいやすいはずだ。ミニマルファブとして利用するのであれば行政からの口ぞえもしてもらえるかもしれない。古いLSIをHDLに書き換えてIP化する。新しいチップセットはX680x0ライセンサーで一括管理し、チップセットを製造する会社よりライセンス料を徴収し、IPを提供した会社にもライセンス料が行くようにする。ただしあまり高額なライセンス料にすると結局利用されないので適切な価格で運用する。日本ではケイレツが邪魔をして、自社だけが儲けよう、秘密主義になりやすい。家電業界でもパソン業界でも水平化、グローバル化が求められている。水平方向に、技術情報が共有できるようにすることが重要だ。
Arduinoが成功したのは、ユーザー・フォーラムの形成がうまくいったから。なにも高性能、高機能だからではない。情報がオープンで適切な価格で販売されていたから。ビジネスだから結果が黒字になることは必要であるが、自分だけが儲けようとするのではなく、 自ら創りだそうという人に対し情報を公開し、次世代のIT技術者、ASIC設計者を育てる。
FPGAを内蔵し、そこでDSP機能をもたせるのも面白いかも。数量の点でセルベースICが使えないならばメインのチップをFPGAにしてしまうという案も。
グラフィック
DOS/V並みの高解像度、たとえば「1,920 x 1,080」ぐらい。画面の縦横比は3:4の方が使いやすい。互換性を考えて従来のビデオ・モードが使えること。256×256または512×512×最大16ビット(65,536色)、768×512×最大4ビット(16色)
ディスプレイ
シャープというばX1から続く家電と一体のパソコン。液晶ディスプレイとし、地デジ/BSが見れること、HDD録画ができること。パソコン側からテレビをコントロールできること。テレビの回路は、現在、家電で使用されている液晶テレビのものを流用。ただし録画時、動画の圧縮、伸長はパソコン本体にあるチップセット側で行う。ディスプレイ・インターフェースはHDMI。
メモリー
1GBぐらいの標準実装メモリー。最大8GBぐらいまで増設可能。メモリーマップドI/OやVRAMは従来互換のメモリーマップとする。ただしリニアなメモリー空間を確保するために何かの設定でメモリーマップドI/OやVRAMのアドレス位置が移動できた方が良いかもしれない。
HDD
内蔵HDDは現在の水準、容量:1Tぐらい、sATAまたはSSD。外付けHDDはUSB、またはsATA。SCSIは互換性のため残すか? →いらない気がする。
RS-232Cとプリンター
レガシーな、パラレルポートとシリアルポートは削除。USB接続だが、変換ケーブルを用いてセントロに変換し古いシャープ製のプリンターが使えること。最近のESP/Page、ESC/P、ホストスクリプトのプリンター、ネットワーク接続のプリンターが使えること。
RS-232Cが必要な場合は、USB経由で変換ケーブルを使う。
音声の入出力
従来品と互換性のある回路と新たに追加されるリニアPCM音源を持つ。アナログ入出力: 24bit / 96kHz / ステレオ。デジタル入出力はいらない気がする。MIDI音源は従来品と互換。高度な音源が必要ならFPGAのコンフィグレーションをISPで書き換えて実現。
ジョイステック
不要。必要な場合はUSB接続で既存のジョイステックが使えるようにする。
光ドライブ、リムーバブルメディア
現在の水準である、CD/DVD/Blu-ray対応。DVD-ROM、DVD-R、DVD-RW、DVD-RAMに対応。Windows用が流用できれば良い。CD/DVDから起動できること。
フロッピーのドライブは1台だけ搭載、もう1つのドライブは仮想ドライブとする。MOは必要であればUSB接続で既存の周辺機器が使えれば良い。
USBフラッシュが使えること。USBフラッシュから起動できること。デジカメはUSB接続で使用出来る事。接続した時にストレージに見える一般的な方法で良い。
マウスとキーボード
キーボード(標準添付)は、シリンドリカル・キャプチャでテンキーはいらない。キー配置は従来どうり。テンキーが欲しいというユーザーはWindowsのフルキーを接続できるようにする。マウスは、3ボタン、ホイールをつける。キーボードとマウスはUSB接続とする。
キーボードとケースは国内の優秀な工場で製造する。特にキーボートは使用感、寿命に大きく影響する。押した時のキーの感覚が異なると高速てタイプしたときにタイプミスが発生しやすいし高級感を損なう。安価なメンブレン・タイプは長期使用していると引っかかりがでたり、故障が発生する。コストダウンをした方が良いのではとの意見もあると思うが、安いPCが欲しいのであればWindowsマシンで十分なはずだ。 基板は、中国や台湾で製造してもいいかもしれない。
拡張機能
拡張ボードは互換性重視、従来のままで良い。変えるとしたらPCIe。ユーザーが自分でハードも作れる方が楽しい。 ネットワークとUSBは必須であろう。100BASE-TXとUSB2.0を追加する。1000BASE-TXとUSB3.0でも良いがそれほと必要ない気がする。 無線LANはUSB接続でWindows用が流用できれば良い。USBコネクターは全面に2ポート、背面に2ポート。
3Dメガネの代わりにグーグル・グラスのようなものをつけるのも面白いかもしれない。ソフト
Human68k、SX-Windows、VSなどは、新しい周辺機器に対応すること。新しい解像度に対する対応は重要だ。機能はとりあえず従来のままでもよい。BIOS(シャープではIOCSと呼ぶ)、デバイスドライバーなどの開発が必要になる。全ての周辺機器をプラグアンドプレイに対応するのは大変であるので、USB機器だけプラグアンドプレイに対応する。これらはユーザーフォーラムの協力をあおぎ、ボランティアを活用、できるだけ開発費をかけないようにする。特に日本語対応は重要だ。
古いソフトはできるだけ無料でダウンロードできるようにし、かつてのユーザーが楽しめるようにしたい。従来、本体に付属していたソフトはX680x0ライセンサーが一括管理し、基本的には無料で使えるようにする。
Linuxはユーザーフォーラムで勝手に移植をする。プログラミングに必要な情報は全ての人に公開。無料であるがメーカーの保証はない。メーカーは情報をオープンにするそのかわりにユーザーはできる範囲で開発に協力する、ただし自由を尊重する、という哲学を貫徹する。これは使うだけの人しか存在しないWindowsでは実現できないこと、X680x0だからできること。
外観
X68000ACE相当、色はグレーでも黒でもいい。
ビジネスとしての実現性
シャープは2010年にパソコン事業から撤退することを表明しているので実現可能性は低い。ただ元パソコン事業をしていた人には、未練があると思う。社内ベンチャーとして少数精鋭でやってみるのもおもしろいと思う。このような企画は、ユーザーがコアな人限定で利益率は高いのだから販売数量が少なくても、事業の結果が黒字になれば良い。
今のWindows PCは中身がウィンテル・オンリーになってしまい、安売り合戦になっているのがまずい。他社の持っていなもので勝負する。かつてX680x0に育てられた人は、現在IT企業でかなりの役職についているはず。CPUが遅くても高価でも買ってもらえる。これもある意味、ブランド戦略だ。
Windowsを使っている人のほとんどは、安くてソフトの種類が多く揃っているからそれを選んでいる。だからもっと安い機種がでれば簡単に乗り換えてしまう。X680x0のユーザーは、自ら作り出す人たち、テクノロジスト、クリエータが多い。それに愛着をもっている。そこにビジネスチャンスがある。新しいソフトウェアの開発などは情報をオープンにすればボランティアがたくさん参加してくれるだろう。(コミュニティの設立) そのようにすることによりメーカーとユーザーの一体感が生まれ、開発費用も節約できる。他の企業がデッドコピーしようとすることは考えにくいし、デッドコピーをしたい企業がいたなら大いに奨めて良い。このオープンな開発環境こそがユーザーが求めるもの。相当品が出まわれば価格競争もあるがソフトウェアの開発も加速される。
今まで大手企業は、デパート方式でケイレツ内に何でも揃え、ケイレツ以外からものを買っちゃいけませんと言ってきた。そのような仕事の仕方はグローバル化には適合しない。終身雇用、年功序列の世界では、定年まで同じ会社にとどまりたくさん残業した人には、役職と高給をあたえるからがんばれ、がんばれと言って来た。しかしエンジニアという人種は必ずしもレッテルとお金を欲しているわけではなく、やりたい仕事をあたえたときにすごいパワーを発揮するものだ。日本にはベンチャー精神が必要だ。
シャープの再建は国民が注目している。ミニマルファブは国が推進する先端技術である。これらを結びつければ、国からの補助金も期待できるかもしれない。今までは開発から製造、営業まで同じケイレツ内でやらなければならないとなっていた。これからはケイレツの壁を突き抜けて、ユーザーも開発に協力、電子科やIT科の専門学校生などが最先端の技術に触れる機会をつくる。正直なところ学生の能力には大きな差がある。全員に強制参加させるのではなくやりたいと手をあげた生徒、ほんとうに能力のある人限定で機会をあたえる。多様性、自主性が重要だ。大学や専門学校と連携して実務的な学習をやらせる。多様性に満ちた開発環境にチャレンジする。
情報を公開すると海賊版が出るかもしれない。付加価値があるのは、外観やブランドであるので、回路図やソースコードは公開するが、ブランド、意匠はコピーさせない。意匠権や商標権は国内はもとより海外でも登録しておく。日本ではデザイナーの地位が低い。経営者はもっとデザインの価値を認識すべきだ。本体をメーカーwebにインターネットに接続した際に、暗号を用いて純正品か、あるいは正式なライセンスを受けた相当品なのか、海賊版なのかを判別できるようにする。