「働いたら負け」という名言は、あるテレビ番組で25才の男性が発言しブームになったそうだ。現代社会は、商業主義で多くの人間は搾取される立場にある。
搾取されたくなければ、搾取する立場(経営者)になるか、サラリーマンをやめて自営業になるか、ホームレスになるかしかない。経営者になるのも自営業になるのも容易なことではないので、多くの人たちは搾取されることに嫌悪感、苦痛を感じながらもあきらめてしまっている。
サラリーマンとして働くということはブラック社長にお金と時間を上納することになるので、商業主義あるいはブラック企業に負けたという意味なのであろう。
口にすれば「ダメ人間」のレッテルを貼られてしまうようなことをあえて言ってくれたことに対する共感があるのだと思う。
若者の離職率
最近は若者の離職率が高いと聞く。終身雇用は日本独自のシステムであり、他の国では条件の良い会社があれば転職するのが当たり前だ。まず離職率が高いと何が問題なのだろうか?
1つには社員を教育したり、求人にお金をかけているので長く働いてもらわなければ困るということがあるだろう。終身雇用は今後も続いてほしい、続くはずだと思い、教育や求人にコストをかけすぎているのかもしれない。日本では、「仕事のやりかたが同じでなければいけない」というこだわりが強くそのために無駄なコストやアツレキが発生している。会社での教育とはやり方ではなく、考え方を教える。そして結果が重要なのだ。海外では日本のような教育の仕方はしない。
基礎知識の教育(会社によって異ならない知識)においては業界全体に貢献する仕事と考えるべき。現在は派遣が一般的になってきているので人材は業界全体でシェアする時代だ。 他の企業で教育をうけた人間を中途採用することもあるわけだからこれはお互い様ではないだろうか? (ただし人材流動化が進めば基礎知識の教育はしずらくなるので個人が自宅で学習することも必要だ)
派遣であっても1人の審査に1ヶ月以上かかる場合がある。 求人にお金をかけすぎてしまうというのも終身雇用前提で考えているからであろう。 そもそもトカゲの尻尾あつかいなのになぜそんなにコストをかけるのであろうか?
最近は雇用が悪化しているので、退職してしまうと次の仕事がなかなか見つけられない。離職率が高いと生活に困る人が増えるというのがある。失業率が高くなっているのは、多くの企業で人数を減らして、その分残業時間を増やしているからである。また行政が36協定、労働基準法の違反者を野放しにしているからである。
使用者側は働く環境を改善することに無頓着で労働者側を悪くいっているだけのことが多いようだ。人がどんどんやめてしまう会社には問題があることを認識し、現場の人間と本音で話すことが重要であろう。やりがいのある仕事でワーク・ライフ・バランスを考えている企業であれば辞めてしまうことはないはず。
元凶は、自分だけ儲けようとしているブラック企業なのでその更正が急務であろう。 みんなが苦しい時だから仕事はみんなでわけあう「ワークシェアリング」が必要。特にIT業界は、労働基準法を無視した過剰残業が多いので、それら違反者に対して積極的に罰金を徴収するようにすれば、失業率と離職率が改善するであろう。
最近は、特定派遣といって社内に仕事のない会社の正社員になり、客先企業内で仕事をするのが多い。この場合は1つの派遣先の仕事が終わり、次の仕事まで間が半年ぐらい開くときられてしまう。つまり正社員というのは言葉のあやで、労働者を縛っておきたくて、次の仕事まで間、仕事がなくても給料が出ますといっているだけ。
終身雇用が崩壊しつつあることはみんな知っている。 なので若年層は転職してもあまり金額は変化しないので転職しやすい。そもそも条件の良い会社があれば転職するのは自然なこと。中堅以降は転職すると給料の面で損をするので転職を思いとどまる傾向が強い というだけなのかもしれない。
離職率が高いことを「近頃の若者はがまんが足りない」という言葉だけでかたずけてしまうと本質を見失う。企業側の問題とつき合わせて考える必要がある。 そもそも人材の流動化が必要だということで派遣を自由化をしたはずなのに、蓋をあけてみて企業が求めていたのは「トカゲの尻尾」と「安い労働力」というのは問題だ。
搾取される労働者
たしかに現代社会ではお金は必要で、働かなければならない。
そして私たちは仕事だけではなく家庭や遊びも必要なのでそれらのバランスが必要(ワーク・ライフ・バランス)。まったく働かないというのは問題であろうが、何時間働くかは個人で選択すべきであろう。たくさんお金がほしい人はたくさん残業すれば良い。お金に頼らない幸福を求めるのであれば労働時間を短くできるのが良い。経営者は搾取するために労働者を飼っているわけで、そのため過剰残業が当たり前になっている。選択する権利がないのが問題だ。
人が最低限の幸福が得られるようにるために法律がある。 ところが労働法を守らない企業は多く、どこまでが正常で、どこからブラック企業であるかの線引きは難しい。法律での趣旨は基本は法定労働時間である8H/1日で業務が終わるように努力すること。企業により都合が異なるであろうからどうしても8H以内に終わらないのであれば、労働者と経営者で話し合いをして36協定を作れということ。何時間以上がブラックという線引きではなく、労働者と話し合いをしないでゴリオシをする企業がブラックであろう。
今まで労働法(36協定違反)の違反行為は黙認されてしまっているが、その影響で失業率に悪い影響がでている。今後は違反者の摘発、具体的なペナルティー(罰金を払わせる)などの対応が必要だ。現在の法律では個人の都合、家庭の都合などで労働時間を設定することができない。これからは多様性が必要であろう。
オランダのワークシェアリングで驚異の低失業率を実現できたのも労働者の希望で短時間労働を選択できるようにしたことが大きい。日本では派遣切りで人数を少なくし、労働時間を長くしている。これは働けるが仕事のない人を増やし、仕事にありつけた人は過剰残業に苦しむ という状況だ。これは労働者を不幸にし、日本経済にとってもマイナスである。
本来は、働く喜び(たとえば労働者が学習して向上していくこと)があったはず。 行き過ぎた商業主義は、「働くこと=搾取されること、苦痛」になっていることが問題である。そしてお金持ちは自分だけ得をすることを考え、みんなで幸せになることを考えない。ここを改善していく必要がある。