最近はTPPなど自由競争が激化する動きがある。
自由競争を加速させると、農業従事者、自営業者など競争力の弱い人たちは生活がなりたたなくなり、転職/再就職の必要が出るであろう。
自営業の人たちは、サラリーマン固有のパワハラや自由がないことを嫌って、自営業をしている傾向がある。これらの人がサラリーマンの仕事に適合するためには、会社の多様化、人材流動化が必要であろう
TPPを導入するのであればまず先にこれらの問題を解決する必要がある。
そうでなければ、多数の失業者が発生し、日本の経済はさらに傾いてしまうであろう。
年齢による差別
日本経済にとって儲からない職種/業界から利益率の高い職種/業界へ移行することが必要だ。しかし年功序列、終身雇用が色濃く残っている日本では人材の流動化が難しい。特に人材を採用する際に年齢、性別による差別があり公平な審査が行われていないことが問題である。 実際に職務経歴を見ないで年齢で断られてしまうことは多い。
企業の考え方を変えさせるのには次のような法改正はどうだろうか? 従業員XXX人以上の大手企業に対して、50才以上の人間を正社員として雇用する目標値を設定させる。そして1年毎の目標値と結果をその企業のwebで公開させる(新卒の採用者数、男女の構成比、育児休暇取得率なども公開されると良い)。地方自治体のwebでもこれら目標値と結果を見れるようにする。
○○○株式会社は、地域社会に貢献します。というフレーズは広告でよく見受けられる。本当に社会の貢献するつもりがあるのか、あれは単なる建前で本当は自社だけ儲けることが目的であるのか? そのことが数字で明確になるようにする(会社の透明化)。もしもそれが恥ずかしいと思うのであれば努力するようになるはずだ。 企業ごとに都合があるので目標値は自分たちで決めさせ、自主的に活動するのが良い。
高齢化社会では60才以上の人間でも働く能力のある人には仕事ができるようにする必要がある。そのためにも1人1人の体力や健康状態に合わせて短時間労働が選択できるようにする必要がある。
男女平等と少子化対策
男女平等という言葉は建前になっている。 今だに男性は残業を強要されるが給料が良い。女性は残業をしなくても良いが給料が安いという慣例がある。男性は、育児休暇がとれない。これは統計によれば「取得率:女性90%、男性2%」と圧倒的な格差がある。「お父さんも子供とふれあいたい」と思うがお父さんが家に帰れるのは子供が寝てからだ。母子家庭には援助があるが、父子家計には援助がない。
就職時に「小さな子供がいます。」と言ってしまうと採用されない。少子化対策としても子供を持つ親が働ける環境(ワークシェアリング、父親の育児参加)が必要であろう。
商業主義(お金儲け優先)の社会は人を不幸にしている。
こんな案はどうだろうか? たとえば役所と同じビルの中に公立の幼稚園を設立し仕事帰りに子供を迎えにいけるようにする。そして行政が積極的に小学生までの子供を持つ親(離婚家庭)を派遣として雇用する。
子供が病気の時にお互いに預け/預かるネットワーク作りを率先して行う。残業ゼロで仕事を実行できるようにワークシェアリングを行う。仕事と家庭を両立するノウハウを確立し、のちのちにはそれを民間企業に伝授してゆく。お金をバラまくのではいつまでも自立できず、高校まで援助してくれ、大学まで援助してくれと際限なく血税を浪費してしまう。子供が大人になったなら親は仕事にありつけるのだろうか?
そうではなく実務経験を積み、子供が中学に入ったら民間企業で仕事をできるようにする。お金をばらなくではなく、仕事を与えるということが大切だ。
今だに性別で職種が決まってしまう傾向にある。たとえば女性は管理職になれないとか、服が汚れる仕事や重いものを持つ仕事は男性だけとか、工場の製造や検査は、求職票には女性だけの求人とは書いていないが、男性が応募しても断られる。男性がその仕事をしても何も問題がないはず。適正があるかどうかは性別ではなく職務経歴やその人の個性をみて判断すべきだ。厚生労働省からは男女平等という建前があるが、ハローワークの職員は企業側の都合を優先し、男女差別を認めてしまっている。日本は先進国のなかで最も男女差別がひどい。
⇒雇用における男女の均等な機会と待遇の確保のために(厚生労働省)
実務経験がない人にもチャンスを与える
儲からない業種から儲かる業種に人が流れていくことが日本経済にとって必要。しかし再就職の際には、実務経験があることを条件としている企業が多く、ことなった業界/職種へは難しい。関連する資格をとっても、実務経験がなければダメ言われてしまう。企業は教育にかかるイニシャル・コスト、リスクを嫌っているためだ。
1年ぐらい就職活動をしていて雇用してくれる企業がなく自殺してしまう人がいるそうだ。 ことわられ続けていると自分は無能な人間だ、社会全体から否定されている気分になってしまうのだと思う。新卒の人は当然、実務経験がないわけだが、これらを敬遠してしまっている。派遣が普及したため人材はお金で買ってくる時代になってしまったためだ。 紹介予定派遣の活用がもっとされて良いと思う。
儲からない業種をメインとしている企業は、業務内容を改革していく必要がある。 教育や設備投資にはコストがかかるから嫌だといっていつまでも改革を行わないと、次第に企業の競争力は低下して立ち行かなくなる。かといって長年会社のためにつくした人を解雇してしまうのは人を不幸にする。再教育には時間がかかるので計画的に改革を進めていく必要があるのではないだろうか?
企業合併すれば何とか持ちこたえられるとか、残業時間を増やせば利益率が改善されるのではといって改革を行わないのは、「やるべきことを今しないで問題を先送りにしているだけ」である。やるべきことを先送りにしていると問題点は積算されていき、未来で会社を転倒させる大津波となるであろう。
面接官の主観
就職時の審査は、職務経歴や面接時の知識確認で判断するのではなく、面接官の主観(好き/嫌い)で決まってしまうことがある。 行政からは公正な採用をと呼びかけはあるが、面接や職務経歴、筆記試験では本当に使える人間か判断するのは難しい。 そして終身雇用を前提としているので新規雇用について慎重になりすぎている。 審査に時間、コストをかけるのではなく 紹介予定派遣を使用したらどうだろうか? 実務をやらせてみるのが一番確実な判断方法だからだ。
エンジニアは技術力を見てほしいと思う。しかし審査の際には、若くて家が近い人が良いという理由で選別されてしまうことがある。本来は定時までに仕事を終わらせるという目標を持って行動すべきであるが、沢山残業させることが目的になってしまっている会社が多い。面接官は仕事の能力のある人ではなく、都合の良い人を選んでいる。 また面接担当が営業である時には、表情でやる気は測る傾向がある。面接の際には新しい仕事に対する不安がある思うが暗い顔をしていると落とされてしまう。営業は技術的なことは良く分からないので職務経歴は重視しない、精神主義的な面で判断をする。
特定派遣の問題点
特定派遣(正社員として一旦雇用して他の会社で働かせる)はシステム的に無理がある。 現在のような不況の時期には1つの派遣先が終わって、次の派遣先が決まるまでに半年ぐらいかかる。その間、派遣元に給料を払わせるには無理がある。
実際には半年ぐらい仕事が決まらないと首になるのに、あたかも定年まで給料が保障されているかの印象があるので不誠実である(企業は利益優先だから当然)。 要するに派遣先の人が「正社員です」というと安心して仕事をもらいやすくなることと、労働者をお金で縛っておきたいというニーズがあって特定派遣というシステムを考えたのだと思う。
正社員として一旦雇用させて他の会社で働かせるシステムにすれば雇用が安定するのではないかという浅はかな考えだ。いかにも業界/現場のことを知らない人が考えたシステムであると言わざるを得ない。 このシステムでは労働者が特定の会社に縛られてしまうので2重派遣、3重派遣が起こりやすい。人材の流動化が必要だといって派遣のシステムを導入したのに特定の会社に縛られ続けるということ自体矛盾がある。 1つの派遣会社で取引をしている顧客には限りがあるのでその中で適合する派遣先を見つけるのは難しい。大手企業は取引を行う派遣会社を制限している。なので派遣会社に派遣するということが行われてしまう。
常駐せよというのは顧客(派遣先)が心配だから仕事の細かいところまで指揮命令をしたいという意味。顧客の方が力が強いので「請負契約だから派遣元のリーダーが指揮命令します」と言うのは現実には困難である。
書類上は「請負」ということにして法律の網をすりぬけているが、実際には派遣先の人間から直接労働者に細かい指示をしていたり、場合によっては派遣先の人間に許可をとらなければ帰宅できないようにしていたりする。(これは2重派遣契約の働き方) ほんとうに請負ならば自社の判断で仕事をしているということなので、仕様を決めるのは顧客(派遣先)であるが仕事の仕方は自社で判断し、残業すべきかは自社で判断するはず。
請負にした方が金額的に有利だからとか、2重派遣になるのを防ぐため、労働法の制約から逃れるため書類だけ請負にしておくというのがよく行われる。
派遣が、低賃金の人を使い捨てにするツールになっていることが問題だ。たとえばエンジニア派遣では、CAD入力、もしくは評価だけという仕事となっており、設計や開発をやらせてもらえることが少ない。時給の高い仕事こそ派遣を活用すべきではないだろうか?
最近は、低収入の人間は短期のアルバイトを禁止する法律ができたそうだ。短期派遣の間が開いてしまう時にアルバイトが必要になる。これは人材の流動化を妨げるので逆効果である。短期の仕事を禁止するのではなく残業をゼロにして雇用を増やし、多くの人に仕事が回るようにすることが急務である。
真の意味での人材流動化
特定派遣だと簡単に解雇できないので採用が進まないという問題がある。 一般派遣(契約社員)ならある一定の期間だけ使うことができるので企業としては採用しやすい。定年まで給料が保証されないと嫌だという思う人もあるのだろうが、世界はつねに変化しており、企業もそれに対応していかなければならない→だから人材流動化が必要。 生活の保障をしてくれるのは会社ではなく自分自身の業務能力であるという認識をもち、積極的にスキルアップが必要。どこで仕事をするかはどうでも良い。どこの会社でも仕事はしていけるという自身/実力こそが重要。
なぜ雇用が悪化しているかは、正社員(帰属性)重視であること、残業時間を増やして人数を少なくしようとしているから。 一度雇用したならば簡単に解雇できないので新規雇用に慎重になる。 解雇できない仕組みを作るのではなく、再就職しやすい環境を作ると言うこと。 そして解雇が正当/公正であるかどうかを行政がチェックする。
終身雇用では、役職を持った人間は、役職に対して甘え、容易にパワハラを行い、仕事をする環境である会社を良くすることに無頓着になる。それは「この会社をやめたら仕事はないぞ! 俺の奴隷になれ!」という考えがあるのかもしれない。 会社を首になったらもう雇用してくれる所はないと考えてしまうから、ひたすら重役の機嫌をとることに専念し、スキルアップはしない。結果、企業の競争力は低下し、日本経済は停滞する。
平気でパワハラをする会社では働く人間がいなくなるようにすることが、経営者が労働環境を良くしていこうと考えるきっかけになる。多くの人に仕事が回るようにするためにも一般派遣の方が良い。一般派遣を推奨し、特定派遣は禁止にすべきではないだろうか?
長期休暇の応用
こんな案はどうだろうか? 時給2000円以上の派遣を11ヶ月労働させたならば1ヶ月の長期休暇を与えることを法律で義務化する。(仕事をしていない1ヶ月は給料を払わなくて良い) 長期休暇に入る直前に部長(雇用の権限を持つ人)と派遣労働者、1対1でおたがいに不満のある所を本音で話す。仕事の結果(査定)を開示し、次の1年の時給を交渉する。
派遣労働者に長く居てほしいと思うのであれば、派遣いじめやパワハラが少なくなるであろう。なぜならば、経営者/管理職からみて、新しい人に交換すると教育にコストがかかるから。派遣労働者からみて、必ずしも再契約してもらえるとは限らないので結果をだすために努力するようになるであろう。
単純労働(時給2000未満)では長期休暇が認められないので労働者は自分から勉強をするようになるかもしれない。
1ヶ月その人が居なくなるということは仕事の共有ができていなければならない。いやおうなく「ワークシェアリング」を考えざるをえなくなる。仕事の情報を共有できるようになるきっかけとしても有効だ。
ある特定の人物に仕事を集中して、まわりの人間が手伝わないというのは仕事に必要な情報が共有できていないから。病気や怪我でその人が休んだとき顧客に対して「担当者が休んでいるので対応できません」では恥ずかしい話だ。また特定の人に仕事が集中するというのは人を不幸にする。一向に普及しないワークシェアリングを推進する材料として最適であろう。
正社員からみると派遣社員は長期休暇をもらえてうらやましいと思うかもしれない。しかし派遣になるということは結果を要求され、リスクがある。
みんなを同じにしなければならないというのは「護送船団方式」「ことなかれ主義」の考え方だ。同じになることを矯正するのではなく「多様性」を実現する。そして、「ねたむ」のではなく、自分の生き方を決断、選択をするということだ。(経営者/管理職の都合をおしつけない)
自分の時間がほしいと思うのならば正社員から派遣社員に再契約をすれば良い。 このようなシステムは人材/仕事を強制的に循環させる働きがある。
農業の技術改革
農地区画面積を広くしただけではアメリカの農業には対抗できないであろう。 そもそもアメリカと日本の農業はやり方が違う。日本の農業は、地価が高いので労働集約的となっている。
農業従事者は高齢者が多くなっているので、新技術を学習しずらくなっているのかもしれない。人材の流動化(他の業界への転職)が必要であろう。
今後も農業でやって行きたいという決意があるのであれば技術革新が必要だ。 農業に機械が導入されても結局、人が操作しなければならないのでは人件費が問題になる。 ロボットを使用し、人件費を節約する。そのためには農業用ロボットの開発だけではなく、無人運転するための安全規格、その安全に関する法整備なども必要であろう。 スマートグリットなどの技術で、エネルギー、水、肥料を節約することも必要だ。
従来からある用途である食用/飼料用作物だけではなく、バイオマス(燃料や紙の代用品となる作物)など新しい用途にも 積極的にチャレンジすべき。
自分で畑を耕すだけが農業ではない。上記のパテントで収入を得るのも良い。 とにかく日本の農業には技術革新が必要であろう。
自動車業界の責務
TPPで儲かる業界と損をする業界がある。 得をする業界は自動車業界、損をする業界は農業であろう。 だから自動車業界は、廃業せざるをえなくなった農業従事者を積極的に雇用する義務があるのではないだろうか? しかし自動車業界は、他の業界からの人を敬遠することが問題だ。
農業用ロボットの開発には農業従事者の経験が必要なので積極的に活用できないだろうか? 自動車業界のメカ設計の技術、農業従事者の経験を組み合わせ うまく雇用、農業の建て直しができたなら良いと思う。